不動産協会は、都市の開発や魅力的なまちづくりに取り組む企業により構成される団体です。会員企業は、良質なオフィス・住宅の供給、住宅ストックの円滑な流通等に努めておりますが、当協会では、これらの事業を会員企業が積極的、効果的に推進できるよう、不動産関連諸制度に関する調査・研究を行うとともに、政策提言や社会貢献活動などに取り組んでおります。
近年、人口減少やグローバル化の進行、人々の価値観の多様化、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の進展、さらには自然災害の頻発・激甚化等に伴い、不動産を取り巻く環境や求められる役割、都市のあり方は大きく変化してきました。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の働き方や暮らし方にも変容をもたらし、構造的な変化を加速させました。そうした中、コロナ禍から経済活動が正常化し、新たな飛躍に向けてのスタートの時を迎えています。不動産業においても、働く人、住む人、まちに訪れる人に便利で快適で潤いのある暮らしを提供するため、魅力的なまちづくりや豊かな住生活の実現に向けた取り組みを行うとともに、イノベーション創出の場を築くことが期待されています。
一方で、国際的な脱炭素化の動きが加速する中、我が国でも2050年カーボンニュートラルの実現に向けたグリーン・トランスフォーメーション(GX)を促進する様々な施策が進められており、まちづくりにおいても炭素中立型の経済社会の実現に向けた取組みをしっかりと行うことが求められています。環境政策においては、顧客共感・経済合理性・社会課題解決の同時実現が不可欠であり、GX推進に向けた加速を後押しする環境整備等が大切です。
また、国際競争力強化を牽引する新たな都市再生や、多様な人・暮らし・活動を支えるダイバーシティ・インクルージョンなまちづくりを推進することも必要です。都市と地方のリンケージや好循環を生み出し、質の高い都市緑地や面的エネルギーネットワークの創出を促進するとともに、“まちぐるみ”で子育て・インクルージョン等に対応すべく、ウォーカブルな空間形成による多様な空間の一体的活用や、都市の防災性能の向上、持続可能なエリアマネジメントを着実に進展させること等が重要です。
さらに、サステナブルで豊かな暮らしの実現に向け、安全安心で良質な住宅ストックが好循環する社会の形成に資する、ZEH等環境性能の高い住宅の供給や多様なニーズへの対応等が求められます。また、マンションの建替え促進や管理の適正化、少子化対策を視野に子育て世帯等への支援等も必要です。
加えて、国際化への対応や物流不動産、リゾート事業等、不動産業の事業領域はますます広がっています。
不動産協会としては、こうした多岐にわたる役割を果たし、国民生活の向上と日本経済の持続的な成長に寄与できるよう努めてまいります。