一般社団法人 不動産協会

日本の不動産業

国際化

  • 巨大な海外市場に進出
  •  不動産業における国際化の黎明期は1970年代まで遡り、このころ一部の大手不動産事業者が海外での事業を開始しました。1980年代の円高進行により企業の海外進出が活発化し、国内の好景気も後押ししたことから、大手不動産事業者の多くが本格的に海外での不動産取得、運営に乗り出していきました。
     バブル崩壊により、この勢いには歯止めがかかったものの、2010年ごろから再び、大手不動産各社が相次ぎ海外事業を活発化していきます。長年にわたり培ってきた開発・運営ノウハウを生かし、課題解決型の都市モデルを海外へ展開することは、アジアをはじめとした諸外国の高い成長性を取り込み、企業成長を持続させることにつながります。その流れを踏まえ、国土交通省も2015年4月、不動産・建設事業者の海外展開をサポートすることを目的に、当時の土地・建設産業局内に「国際課」を設置しました。

  • 欧米大都市からアジア各国へ
  •  不動産業における海外事業は、欧米先進国の大都市でのオフィスビル取得が中心の事業でした。これらの都市は世界中から需要が期待でき、不動産に係る法制度や国際間での取引ルールが確立し、不動産に関する各種データが充分開示されています。
     2010年代に入ると、成熟度の高いグローバル都市への投資に加え、巨大な人口や経済成長を背景に都市部を中心とした不動産市場が急速に膨らみ始めた中国や東南アジア諸国が、新たな海外進出先として注目されるようになりました。
     こうした新興国は、不動産マーケットが未成熟であることに加え、政情や法制度が不安定でマーケット情報開示が少ないといった「カントリーリスク」から、容易に進出できる環境にありませんでした。 しかし、急速な都市化や経済成長によりオフィスや住宅の需要は膨らみ、法制度の整備や情報開示の進展もみられることから、コロナ禍で一時的に縮小傾向があるものの、進出を図る不動産事業者が増えています。
     これらの国々では、オフィスビルやマンションの単独開発だけではなく、日本国内で培ってきたまちづくりノウハウを生かして、地元ディベロッパーとの協業による大規模な複合開発に取組む不動産事業者も増えています。また近年は、欧米先進国でも、単なる投資ではなく不動産事業者自らがオフィス開発に乗り出すケースも増えています。

  • インバウンドへの取組み
  •  外国人投資家や企業による日本の不動産市場への直接投資は、ホテルなど訪日外国人を背景としたインバウンド需要に関連する一部を除き活発化しています。グローバルビジネスが進展する中、2013年度に創設された「国家戦略特区」制度では、世界で一番ビジネスのしやすい環境を作ることを目的にさまざまな規制改革メニューが措置されています。
     2006年の観光立国推進基本法の成立後、訪日外国人旅行者は、リーマンショックや東日本大震災による一時的減少を除き、順調な伸びを見せ、2019年には、過去最多の3,188万人を記録したものの、コロナ禍に入った2020年には、前年比87.1%減となる412万人にまで落ち込みました。
     今後は、アフターコロナにおけるインバウンド需要の回復を見据え、訪日観光に関する積極的な情報発信や、国際的な会議、研修、学会、展示会等、より多くの集客や交流をもたらし、大きな経済波及効果が見込まれるビジネスイベント「MICE」の誘致などが、官民連携のもと、本格的に再開されることが期待されます。

    関連項目:オフィスビル(都市再開発) リゾート・ホテル